ラピュタ現わる(号外)

那珂川が流される、の巻


 西暦1998年8月27日。この日は那須野が原大地に住むものにとって、忘れられない日になる事だろう。あの清流那珂川が流されてしまったのだから。
 仕事帰りに覗いてきた那珂川の惨状を写真のあらん限りレポートする。



 この日は、次のように紹介されている。

7人死亡6人不明
福島・栃木で集中豪雨 

大雨で欠壊した栃木県・那珂川支流の余笹川(本社ヘリから)
福祉施設で土砂崩れ 

 関東、東北地方の一部は26日夜から27日にかけて局地的な大雨に見舞われ、福島県内で福祉施設の裏山が崩れたほか、民家が土砂に埋まるなどし、施設入所者や住民七人が死亡、1人が行方不明。同県は午前7時、陸上自衛隊に災害出動を要請した。

詳細はこちら


以上、産経新聞より無断借用。怒られたら消すぞ。



 まぁ、そういったわけでちょっと筆舌に尽くしがたい状況が発生したわけである。そういったわけであるので、まぁ、つまらんコメントなどは省いて、映像の方をお届けしよう。

場所
惨状
コメント


ラピュタ雲
 これが、栃木県北部を襲った雲だ。まさにラピュタ雲 竜王の巣という感じだ。
 こいつが10分間隔で大雨を降らせてみたり、やんでみたりで非常にいいかげんな天候を作り出しているのである。





黒羽河川公園
 ここは、黒羽町の那珂橋から1kmほど上流に来たところである。増水のため河川公園が無くなってしまった。地元の人たちは、まるで他人事のように様子を眺めている。まだ実感がわかないのだろう。
 話を聞くと、人が10人ほど流されてしまったという。朝からここに来ているという右側のおじさんは家が流れてくるところを見たそうだ。
 左のおじいさんは、こんな大雨は生まれて初めてだと力なく語った。





黒羽河川公園2
 そんな話をしていると、木が流れてきた。
 自然の力をまざまざと知らしめられる瞬間だ。
 あの木はどこまでいってしまうのだろう・・・。

 川は見渡す限り濁流だ。ここに立っていると、土のにおいが強烈に漂ってくる。





3段の瀬下流
 ここは以前、トノ・炭田さん・あくっちゃん・きこりがステーキ肉をたらふく喰った、あの瀞場だ。いまや見る影もない。
 下流にあるヤナは流されてしまった。その様子を、橋の上から従業員がぼんやりと眺めていた。






黒羽トンネル横
 ここは日本である。日本の中でも栃木県である。栃木県の中でも黒羽町の那珂川である。

 これは、どう見てもアマゾン流域にある川だ。那珂川ではない。


余笹川
 黒羽スプリングスの横を流れる、あのチョロ川がこの川だ。

 今では10もの人と2つの家を飲み込み、田畑を切り崩して轟々と流れているのだ。

 下流の小さな橋では、木々が成す術もなく、欄干にその姿を曝け出している。


余笹橋
 余笹川にかかる、近代的な橋から望む余笹川。

 明日、この橋はまだあるのだろうか?


余笹橋より上流
 余笹橋より上流を望む。



与一ヤナ
 ここが何度もお世話になっている与一ヤナの目の前。浅瀬で苦労した那珂川の姿は、ない。

 ヤナは流されてしまったが、お店の方は床下浸水で免れたようだ。








与一ヤナ下流
 いつもはテトラが剥き出している橋の下。

 今日は、無い。




鍋掛けにある橋
 何年か前、炭田さん・千葉さん・トノ・きこりが川下りを始めた場所。あの時は水がなくて苦労したっけ・・・。


4

黒磯4号下
 黒磯市内から見た那珂川。8月2日に上陸したところだ。以前の画像と見比べてもらえればどれほど増水しているか分かろうというもの。

 上流にある河川公園も、すべて川の下。



 この日の朝、一通のメールが届いた。

Subject:今日のNHKニュースより
Date:Thu, 27 Aug 1998 09:40:46 +0900
From:"tanii"<tanii@sis.sumikin.co.jp>
To:msuzuki@nasu-net.or.jp


朝のNHKニュース(おはよう日本)を見ていると、

那須が大雨だ!!!と放送されていました。

旦那はきこり 「川へいけ−−−−−−!」と叫んでいました。

代わりにメールをしておきます。

山口 嫁より




それはカヌーしてこいッ ていう意味?ねぇ?

「死ねッ! っていってんのか!? コラ おこってるよ



なくなった方のご冥福を祈り、レポート終わる


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