きこりゲンコツの瀬でロディオ
きこり、謎の3人組に出会う、の巻
8月24日に、購入してから約1年・走行距離は3万キロ・悪路を走ってアンダーボロボロ・エンジンオイルは真っ黒だ、という愛車きこり号を点検してもらったあと、会社にいって少々仕事をし、夕方「きこりゲンコツの瀬」に出向いてきたのだった。
そこできこりは、謎の3人組と運命的な出会いをはたすのだった・・・。
この日は「スバル、お客様感謝デー」であった。購入してからだいたい1年ぐらい経ったきこり号をメンテナンスしていただくため、早速スバル西那須野店に進路を取って出発。点検が終わったら素早くカヌーに出発するため、屋根にくくりつけてある。ボディカラーが白かったらまさに鶏という感じですな。
短い艇なのでジャストサイズと言うかジャストフィットと言うか。ウィンドのロングボードを積んでるときみたいな悲愴感がなくてよろしいですな。
「お客様感謝デー」だと、無料で10ポイント点検をしてくれるので便利だ。オイル交換も半額、オイルエレメントも割引き、御願いすればこのお姉さんが無鉄砲に洗車機に突っ込んでくれるという特典付きだ。
矢菜香(仮称)さん26歳(推定)だ。
以後見知りおけけっこうおバカちんだ。オモロイけど。
このおねぇさんは天然ボケ系のかなり来ちゃってる人で、伝説的失敗談等たくさんあるのだが、例えば
「キコリさ〜ん、聞いてくださィ! 先月ビビオ1台売れて
『やったぁ〜』
と思ってたんですけど、そのお客さん、あれから1ヶ月もたつのにまだ頭金すら入金がないんですよ。それで、心配になって所長にも怒られちゃったんで電話してみたんですけど
『この電話は現在使われておりません。番号を御確かめの上・・・』
って言われちゃって・・・。どうも逃げられちゃったみたいなんです。
でも、キコリさんはそんなことないですよね」
というエピソードすらある。全くかわいそうな話ではあるが、ふつー、連絡先ぐらいきっちり確認しとくでしょう。また、
「キコリさんはそんなことないですよね」
とか言っちゃうあたり、大変失礼であるが、彼女にとってはそんなことは全く気にしないご様子のようである。
さらにちょっとしたエピソードを。
きこり号は、東北1周旅行を終えた後、新車購入1ヶ月目に達したため「1ヶ月点検」にスバル西那須野営業所に持っていったわけなのだが、点検の方はなんてことはない。無事終了。よっしゃよっしゃと帰ろうと思ったとき
「1ヶ月点検ですので、無料で洗車、あらっちゃいます」
と、少々おかしな日本語で矢菜香さん(仮称)登場。
無料ならいいねぇ、と気軽に彼女に頼んだのが運の尽き。洗車機から出てきたのはアンテナがひんまがり、屋根がけっこうヘコンんだ、納車1ヶ月には相応しくないきこり号なのであった。
「スビマセ〜ン」
『ボケェェェエエエ!!』
少々話が脱線してしまったが、今回は洗車サービスを頑として断り、ちょっとした仕事を終わらせるため、会社に向かうのであった。
まぁ、会社の話はおいといて
会社から25分で、「きこりゲンコツの瀬」に到着。
「おやッ! カヌー積んだ車が3台もとまっとるやんけ」
瀬に目をやると中年男性3人組がナニかもごもごとのたまっている。これからアタックするのだろうか? いや違う。明らかに彼らの目は「今回のダウンリバーはなかなか満足しましたぞ。これから1杯どうですか?ケーケケケッ」という目である。
きこりはうれしかった。なぜなら那珂川のこんな上流でジモティーにあうのは初めてだからである。
こちらに引っ越してきてから半年間、黙々とかつ一人でロールの練習をしてきたのである。ロールを成功させても喜びを分かち合う人が、失敗しても相談する相手が、沈して笑いあえる人が、激流を下る充実感を共有する人が、これまでまったくいなかったのである。
要するに独りボッチだったのである。すなわち川に出ているときのきこりは人一倍さみしんぼさんで人恋しいヤローだったのである。
まぁ、そんなことはさておき。中年男性はこちらにずんずんと、一点の曇りもない足どりでやって来た。
だいたいこんな感じだ
中: 「今から下るんですか?」 き: 「いや、そこの瀬で遊ぶんですけど」 左: 「これはどこのカヤックですか?」 中: 「これはダガーだね・・・」 き: 「ダガーのRPMっていうやつです」 右: 「ロディオとかされるんですか?」 き: 「いやぁ、始めたばっかりで。沈しかできません」 中: 「じゃあ、ロールとかはバッチリですか?」 き: 「まだ修行が足りなくて、片方からしかできないんですけど」 3人: 「おぉ〜〜〜」
まさかそんなことで驚かれるとは。
右:「ロールはこう・・・で、こう体をひねって・・・コツとかあります?」
しばしロール談義。して、実際にロールとやらを見てみたいという。3人は河原の石段にちょんと座って待っている。きこり艇出動。
いやはや、なんとも照れくさい状況である。アユ釣り師に石は投げつけられても、熱い視線を投げつけられる事はなかったから。
んで、ロール。ザブン。ニョキッ。ヨイショっと。クるン。
おぉ〜〜、パチパチパチ
全くもって照れくさく、ところがけっこう嬉しい。
しばしの間瀬で遊んでいると、3人は下流に人を待たせており、もう帰るという。ニッポンのビジネスマンらしく名刺交換。カヌースクールやツアーをやっているというころで、後でメールをくださるという。名刺を受け取る前は、ただのおっちゃん・あんちゃんという感じだったが、皆さん代表取締役、などと肩書きがついている。
「じゃあ、また会いましょう」
と、3人は夕暮れの林に消えていくのであった。全くもってすがすがしくも、あっさりといってしまうものである。まぁ、今どきのおっちゃんたちという感じである。よきかなよきかな。
そのあときこりは日暮れまでこの瀬で遊んだが、ピロエット?ピエロット?の状態になり、つまりボーッとしていたら反転流に補足され、スターンが喰われ、垂直起立し、夕空を眺め、後方転倒し、水中映像となり、左手をアィッチッチとしてしまったのだ(これはバックエンダーと言うらしい。ピロエットならば後方転倒前にくるっと回転する@98/9/2)。下がそのアィッチッチな左手のご様子だ。
その左手は3日経った今でもむくんでいる。うむ〜、恐るべしきこりゲンコツの瀬。そしてまた来るだろうきこりゲンコツの瀬。じゃあまたなきこりゲンコツの瀬。
とかっこよく捨てセリフ。来週も遊べたらいいな。
まぁ、そんなところなり。
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