カヌ
謎のスクウォーターと遭遇! 渇水の富士川

釜口は面白いことになってるヨ、の巻



 トノの召集により週末を熱海の別荘(トノのおじさんので今度売り出すとか)で過ごすことになったキコリとあくっちゃん(おいら)であったのだが、

き:「どうせなら近くの川でも下ったろうかい!!」
あ:「オゥ!いいねぇ!」

ってことで富士川攻略が決まったのであった。

以上前説


 朝7時まえ、ほかのメンバーが寝静まる中をこそこそっと抜け出した我々は、昨日取り付けたばかりのナビ情報を頼りに伊豆半島を横断、国道1号に乗り富士川橋にたどり着いた。上流には四ヶ郷堰が見える。

あ:「ところで朝飯どうすんの?」
き:「近くのコンビニで買えばいいんじゃない?それより出発地点探そーぜ!」

 とかいう会話を交わしながら国道1号を右折し寄畑駅を目指す。今回の区間は寄畑駅付近から釜口峡下までの区間である。距離にして15km程度か?川沿いに鉄道(身延線)が通ってて帰りは芝川駅から電車で帰れるという手はずだ。

出発地、寄畑駅
ここに戻ってくる予定であるところの身延線寄畑駅

 寄畑駅には9時まえに到着。準備を整え、畑の間を通って河原に下りたのだが...
今日の富士川は水が全然無い。石も真っ白けの超渇水状態だ。北関東らへんは最近雨降ってたのに静岡は降ってなかったか?!(ここら辺は山梨県なんだが地理に疎い我々は静岡だと思っていた。)
仕方が無いので川の中央付近まで艇をライニングし、どうにか出発する。


渇水の富士川は向こう岸まで歩いていける、という感じ

 少し進むと水深が深くなり左岸が岩場の地点に差し掛かった(富栄橋の手前だったかな?)
 岩場の下が深いときたら、

き:ここはアルパインエントリーでしょう!!

ってことでキコリが早速、岩の上に艇を引っ張りあげる。岩の高さは4mほどあるが、適度に角度がついてて落ちるというよりは滑り降りるって感じになっている。歯茎から血が出ることもなさそうだ。まずはキコリがトライ。

いくぜぇ!
ずごごご...
ばっしゃーん!!

いきますぞ〜 ずじゃじゃじゃじゃ! ばしょ〜ん
アルパインエントリー3連写。このぐらいの高さだとちょうど気持ちいい感じ。

 続けておいらもチャレンジ。艇を引っ張りあげて落ちる直前に艇をセットし乗りこむ。上から見ると高さは結構あるが斜面なので大丈夫そうだ。

それでは、いってみよう!!
いくぜ〜オラオラあくっちゃん
いきますかぁ〜? の問いに「オゥ!」と答えるあくっちゃん。いっちゃってください

まず、滑り始めるとこまで艇を引きずって前進する。これが結構面倒でなかなか滑り始まらない。えっちらほっちら進むと艇が傾いて滑り始める。加速がついて水面があっという間に近づいて着水!!水しぶきで目の前が一瞬真っ白になったが、そのままぷかりと浮かび上がった。難なく成功!!

浮かび上がるあくっちゃん

 面白いんでもう1回づつ飛び込んで遊んだが、時計を見たらもう10時。先も長いので出発することにした。

 ここから先はザラ瀬ばかりで水深も浅い所が続き、途中ライニングダウンを強いられる。川幅は広く、上流の富栄橋がいつまでも見えている。こんな状態がどこまで続くのやら。

 しばらく進むと前方に十島の堰が見えてきた。近づいて見ると堰の下は水が無く、特大テトラが散乱している。ここは取水口の右側をポーテージするのだが、特大テトラの山は数十mも続く。足場も悪いし艇をかついで下りるのはけっこうしんどいのだが、他にルートも無さそうだったので、ここをどうにか通過する。

十島の堰
パドラー殺しの十島の堰。ん? なんか遠回りしてないか、あくっちゃん!?

 川の中央に岩場があって右側に川が流れ込んでいる瀬が現れた。初めての瀬らしい瀬だ(十島の瀬)。岩がけっこうあり川幅が狭まっているのでいやらしいが、本流を見定め一気に下る。なかなかの瀬だ。
 瀬の終わりはちょっとした落ち込みがありロデオプレイが楽しめる。また、この瀬の下流側は今までのだだっ広い富士川と違って両岸を岩に囲まれていてなかなかの景色だ。しっかし、何でここだけこんな地形なんでしょ?

 早速キコリが瀬に突っ込み技を決めにかかる。
おいらは下流の岩陰からカメラを構え技の瞬間を待つ。と、艇がゆっくり回転してきてしまった。腰をひねってフレームに入れようとしたがさらに艇が回ってしまう。キコリもなかなか技を出してこない。仕方なく艇を正面に向けて撮影し直そうとした瞬間、

スポーン!!

キコリがスターンを噛ませて技を決めた!

スクウォートターンなりかけのキコリ
「あくっちゃーん、今の見たぁ?」
「おう、決めてたねぇ。なんて技ぁ?」
「スクウォートターンのつもりだったんだけど、うまく撮れたぁ?」
「んにゃ、フネが回っちまって撮れんかった...」
「なにー!!」

 結局、落ち込みが浅くて条件がイマイチだったらしく、スクウォートターン(のつもり)を2回ぐらい決めて終了。時刻は11時を回っている。腹も減ってきたが朝飯は買いそびれたので(今頃気付いた)、先を急ぐ。

 左岸に巨大な採石場を見ながら大した瀬も無い川を延々と漕ぐ。と、川原が広がってきたのに川幅が狭まり面白そうな瀬があらわれた(県境を過ぎたあたりだったかな?)。このまま一気に突入!と思った瞬間、

「釣り師だ!三人もいるぞ」
「やばい、緊急避難」

瀬に突入してたのであわてて岩陰の小さなエディーに入る。後ろを向きながらしばらく様子を見てみるが、釣り師が竿を上げる様子はない。とはいっても瀬の真ん中にいるので、今更ポーテージする訳にも行かないし、バランスをとりながらじっと見守っていると、

「あくっちゃん、引っかかったみたいだ。行こう!」
「おう!」

 どうやら釣り師の一人が根掛かりを起こしたようだ。残りの二人も竿を上げている。今がチャンスだ。すぐに笛を吹いて釣り師に注意を促し、瀬に突入する。1m弱の落ち込みが3段ぐらいあるが、本流は素直で下りやすい。久々の瀬を楽しみ下りきる。

「久々に楽しめたね」
「水量があればもっと面白そうなんだけどなぁ」
「そうだねえ」

 この瀬でもロデオが楽しめそうだったが、釣り師もいたのであきらめた。再び渇水の川を漕ぐ。9月も半ばだっていうのにミンミンゼミがひっきりなしに鳴いている。なんて暑さだ。喉も乾き、空腹も限界に近付いたころ、ようやく前釜までたどり着いた。

ん、なんだありゃ?

瀞場でロデオプレイのような事を決めている人がいる。

「あれってスクウォート艇じゃない?」
「おう、あれがそうかぁ。はじめて見たぜ。」

 早速、挨拶をし、話を聞きながら次から次へと繰り出すワザを堪能させていただいた。

スクウォートの人1 スクウォートの人2 スクウォートの人3
なんというワザかはわからぬが、すばらしいムーブを披露するスクウォートの人。かっちょいい

いよいよ釜口峡だ。ここは川幅が一気に狭まって大きく左に曲がり、岩場に吸い込まれていっている。やや内寄りを進むと良いらしい。まずキコリが、続けておいらも突入する。

うりゃー!

 流れに乗って瀬に突入する。流れが岩にあたって左に曲がっているが、接近するとアンダーカット状になっているではないか!今は渇水状態だからえぐれているのが分かるが、通常の水位なら見た目では分からないだろう。

クライマックス! 釜口峡
本日のハイライト。釜口峡、アンダーカットの狭き門

 どっちにしても危険だ。必死に漕いで吸い込まれないようにする。と、左に曲がった瀬のど真ん中に大岩が!流れが二分され1艇がやっと通れるほどの幅しか残されていない。急いでパドルを差込み艇をコントロールし、無事、通過!

釜口峡通過
釜口峡を通過し、ほっと一安心するキコリ。渇水のため助かったとも言えよう
「いやー、危なかったねぇ」
「おう、水量があったら怖いね! あれは」

 瀬の下流は溶岩の間を川が流れ、谷になっている。と、スラローム艇に乗った学生(?)が10人あまりいた。練習をしているようだが、パドラーには慣れているようで特に声も掛けてくる様子も無い。空気の違いを感じながらも岩場に艇を上げ休憩していると、先程のスクウォーターさんが艇を担いで岩場から降りてきた。釜口峡の感想などを話し、出発することにした。

 直ぐ下流にある送水管の下をくぐるとようやくゴールだ。時刻は午後1時過ぎ、朝9時過ぎに出発したから、4時間も続けて漕いでたことになる。

でっかい送水管
釜口峡も無事抜けて、ゴールの証である送水管で記念撮影をする我々
「ふー、やっと着いたぜ」
「腹減ったぁ〜」
「朝から何にも食べてないもんなぁ」
「これがホントの朝飯前だぜぇ」

 川原にフネを引き上げ素早く着替え、近くのコンビニへ直行した事は言うまでも無い。
小腹を満たした我々は電車で帰るべく芝川駅へ向かった。だが時刻表を確認したところ電車は出た直後で、次の電車までには1時間以上ある。

「電車、待つぅ?」
「うーむ、タクシーで戻ろう」

仕方なくタクシーで戻り、カヌーを回収した我々は朝飯前の富士川を後にした のであった。




本日の成果

その1渇水の富士川は朝飯前でも大丈夫、という自信。
その2十島の堰で見た、大きな魚影(じゅるり)
その3謎のパドラーさんの華麗なる芸

カヌー日記へ | トップへ

inserted by FC2 system