カヌ
途中退場不可! 覚悟を決めて最後まで 阿仁川
6年越しの夢叶い ついにマタギの森の川 の巻

 いつもため息まじりに「阿仁川行きたいなぁ・・・しかしヨメがなぁ・・・」といっていた会長の夢は、アレヨアレヨというまに飛行機の手配は済み宿の手配がすんでしまって後は仕事の調整さえすればオッケー!という具合に実現し、言い出してから6年目にして阿仁川の河原に降り立ったのであった。田舎だからこそ可能な貸し切り広々コテージで英気を養い、待ちに待った阿仁川侵攻に向けまずは腹ごしらえをする七厘会川流れ部隊なのであった。

以上前説

  
「あースマンがうどんと鍋系な何かとビール買ってきて!」

ついさっき、秋田県の角館・中仙町で開催された桜花カヌー大会が終了したので、これからそちらに向かいます〜っと連絡を入れると、こちらが大会でいかに疲労しているかなどはみじんも気にしないというか、そんなことはすでに思考の範囲外であるかのように触れられることも気にされることもなく、いきなりパシリモードになったキコリ・アクツ両名は中仙町にある大きな大きなジャスコに立ち寄り、カートをブイブイいわせて、おおっ!

こんなにホタテが入っててニーキュッパなんスかっ!?

と販促員の胸元につかみかかるぐらいの勢いで詰め寄り、しかるに試食を行い、反芻した結果、これは是非とも今晩のおかずにしたい!と強く思ったのでそいつを大量に購入し、あとはまぁ、ここは秋田県であるからそれにふさわしい郷土料理的なものを幾ばくか、それからビールを角館町の地元系酒屋に立ち寄ってそれなりに購入し、ハテ、

ここから20Kmも走れば森吉町だったのでは?

と、二人ともおかしいおかしい、これは何かおかしいなぁと思いながらも50Km近くを走ってようやく本日の宿泊地であるところの森吉町スキー場目の前にある、小綺麗かつお洒落かつハイソなコテージ、名前は照れるが

森吉 妖精の森 コテージラウル

に到着。会長一家は秋田空港から北回りでやってきたとのことで、すでにビール缶が数本、それから日本酒も(?)も幾分あいているような様子なのであった。

角館から20Kmでつくかと思われた、森吉スキー場にあるコテージ。実際には50Km?ぐらい離れてました。遠い・・・
本日のお宿はこちら。すでに会長一家は明日の阿仁川に備えて準備万端という案配であった。

 ああしかし。焼きハマじゃないや、焼きホタテにしようと思ってた大きめなホタテ貝は、ちょっと目を離して火熾しをしていた隙に大きな酒蒸しホタテになってしまっていたのであった。シクシク。いやでもしかし、値段の割には全然うまいなぁ。会長とあねごのこなれた手つきにより比内鳥とゴボウ、野菜がたっぷりはいった鍋とその他焼きものがこぎみよく出来上がってくるのであった。ハグハグ、ゴクゴク、プッハー(^o^)~~ ゴロン、スヤスヤ。

比内鳥スープ+稲庭うどん鍋、ちびホタテの蒸し焼き、比内鳥の砂肝焼きなどで大いに盛り上がる食卓。もっとお酒買ってくればよかったねー
一パック298円という破格のホタテの蒸し焼き。キコリの意に反してすべて蒸し焼きにされてしまったものの、いやはや、まじウマいっす! もっと買ってくればよかったの〜 > あくっちゃん

 翌朝はすっかり味のなじんだ比内鳥鍋の残りスープにうどんを放り込んで素早く栄養補給。そして本日は川を下ってそのまま関東に戻って翌日は仕事ということであるから、すばらしいロケーションに恵まれたここ森吉コテージでゆっくりと朝靄に包まれる秋田の山々を愛でながらのんびり茶をズズーッ、ということを望むべくもなくちゃちゃちゃと片付けして、そそそと出発したのであった。あぁ、さようなら森吉妖精の森。またくるからな、コテージラウル。

翌朝。稲庭うどんに比内鳥スープが染み渡り、とってもまいうー。秋田県地元チー攻勢にウハウハです。
素早く食べまくってお代わりさえいただこうという魂胆が見え見えのアクツ隊員。もちろん、そんなことはキコリが阻止したことは言うまでもないのだが。

 阿仁川といえばいったん入ってしまうと上陸地点はないに等しく途中退場はできないどころか、我々が知っているエントリーポイントといえば比立内小学校から入っていく河原しか知らず、上陸地点といえば阿仁合駅裏の河川公園しか知らないのであるから、もう、ピンポイントで阿仁川を攻略するしかないのである。うーむ。しかし車を回送したりするのは結構時間がかかるかも・・・。早めに出てきたとはいえ今は9時半ぐらいだからスタート地点に着くのは10時前、そこから出発準備とデポ車の用意なんかをすると11時川下り開始ぐらい。手際が悪いともうちょっとかかるし、えぇとそういえば下リング時間はどのぐらいだろうか? たしか前回は2〜3時間だったような気もするが。むむ。などと考えているとあくっちゃんが

「では阿仁合から汽車に乗ってもらいますか!」

とあくっちゃんが力強く提案。ん〜、でもちょうど都合よく汽車あるかな・・・と、

3分後に出発の急行森吉号があるじゃないの!

なんかすごくツイてるね〜。というわけで事態がよく飲み込めていない会長一家を無理矢理車から引きずりだし、急いで汽車に放り込む。忘れ物はないのかな? 大丈夫なのかな・・・

まあいいか、フネとパドルがあればダイジョーブイ!

と9時48分阿仁合発の急行森吉号を見送ったのであった。まホレ、汽車からだと川もよく研究できるしネ!

あくっちゃんが機転をきかし、会長一家を阿仁合駅へ。すると次の汽車はタイミング良くも3分後だったので、あわてて切符を買う会長とあねご。
乗り込んだ汽車は奇しくも我々が2年前に乗り込んだ急行森吉号。ちなみにこの写真は普通列車であって森吉号ではないのでご注意を。

 そのようなこともあり、比立内の学校には思いの外早い時間に到着。汽車が着いてから30分で出発の準備がしっかり整い、あとはこのなまら重たいダッキーのリンクスをうんとこどっこいせと、いつものように校庭を横切って斜面をすすみ林を抜けると、会長が夢にまで見ていたのであろう阿仁川が涼やかに、かろやかに流れていたのであった。

 一年ぶりにやってきた阿仁川は、今年は春の訪れが早かったということもあるのか雪代水の季節ももう過ぎ去ってしまったかのように水が引き、河原が大きくなっていた。これだと岩も出ていて大変なのかもしれないな・・・って

30mほど下流にやたら岩の目立つ瀬があるんですけども

でもまぁいいか。会長一家の用意を待ち、今や家族3人と食料と6本のビールの命を預かる山口会長操るリンクスを挟むように、それぞれ前にはあくっちゃん、しんがりキコリ、とは言ってもたった3艇だけの布陣なのであるが、そのような陣形でもって春の山から栄養がたっぷりと流れ込んだかのような色合いを見せる阿仁川下りを開始したのであった。

「お前がせかすから、釣り竿を車の中に忘れてきてしまったではないか! どうしてくれるんだ! 楽しみにしてたのにぃ!」

あら〜、スンマソン。でも急かしたのはあくっちゃんなのであくっちゃんに言ってください(^^;

 まぁ、そんなこともありつつ厳かに出発。

小学校の校庭を、空気一杯にしたリンクスを担いでワッセワッセと通り過ぎ、しかるに林を抜け汗だくだくの状態でやっと河原に到着。さぁ、出発じゃ!
記念写真を撮ろうと、テキパキと指示をとばすあねご。恐れをなした子供たちが素直に所定の位置に集合する。ところでカッパで大丈夫なんでしょーか?
さてさて出発。水量はやや少な目で微妙に濁りぎみかな? 栄養豊富って感じです。
カメラの最終チェックをし、出発なのじゃ。

 が、初っぱなの岩絡みの瀬で

岩に張り付き、押しつぶされ、水船と化す会長一家!

あぁ〜、ビールがビールが。

フネを洗う川の流れが、搭載してあったビールやなにやらを無慈悲にかっぱいで流していってしまう。あーいやいや。まぁ、ビールはたぶん気づいているであろう先頭を行くあくっちゃんに任せ、なんとか搭乗したままで脱出をはかろうと横柄の大仕事的にもがいている会長を助けるため、キコリはいったん船を下りて後方よりケリを食らわす。ゲシゲシ。ん〜、結構しっかり張り付いてるのねん。

 足場をしっかり確保して最近ちっとも発揮していない背筋力をここぞとばかりに発揮して、なんとかリリース。あぁ、しかしビールがビールが。って

あくっちゃん気づいてないし!!

急いでフォープレイに乗り込みビールを探すが2本しか見あたらず。ナームー。

出発直後の障害を何とか乗りきり、流れゆくビールの缶を追いかけながらの川下り。
もう地上はあんなに上の方に。逃げられません :D

 それにしてもレスキューをして改めて思い知らされる水温の低さ。ぬくぬく、ポカポカの気温とは裏腹に水は冷たい。1〜2分も手を水につけていると、しびれて動かなくなりそうだ。まぁでもこの川はそれほど怖いところはなく、せいぜい1級から2級ぐらいであろうから大丈夫かな。と思いきや、

瀬を通過するたび、水の冷たさに泣きわめくカイスイ

さっきから「冷たいよ〜、うェェェん(涙)」とか「もう帰りたい〜」とか「何で帰っちゃだめなの〜?」とか泣きわめき、駄々をこねている。う〜んむ。天気に恵まれ、ポカポカとした日差しを浴びながら青々とした木々と藻が生い茂った岩壁の両岸の間を爽やかに流れ進む阿仁川の大変気持ちいい川下りも、V字峡谷にカイスイの泣き声がバックミュージック的に鳴り響くという状況にあっては、いささか笑いも苦々しくなって、いわゆる「苦笑」という感じなのであった。

 そんな感じで先兵あくつ隊員の偵察により慎重に川下りを進めてきた会長一家リンクス号も、これはちょっと岩絡みで落ち込みはあるし、進路が一つ倒木でストレーナーになってるんではないの? という危険な香りがそこはかとなく漂う箇所に到着したので、いったん上陸&スカウティング。そのままちょっと早いがとりあえずお昼となる一行。お菓子をタラフクほおばって、しばし笑顔が戻るカイスイとミズキ。ずっとこの調子なら何の問題もなく楽しい川下りなのだが(^^;; 

 少しばかり波乗りをして遊んだあと、気合いを入れ直し再出発。

直角に曲がりながら落ち込む難しそうな瀬を前にスカウティング&お昼ご飯。ここまででヌレヌレ状態になったカイスイはだだっ子モードに突入。大変です。
川下り続行を決意するも、風景はだんだん阿仁川らしいV字渓谷状に。こだまするカイスイとミズキ両名の鳴き声と川のせせらぎと山鳥のさえずり。複雑な心境である。

 だが、阿仁川の早瀬はこれでもかこれでもかと会長一家に春の冷たい水しぶきを浴びせかける。もっともキコリやアクツ隊員にとっては単なる気持ちのよい水しぶき、というだけなのだがしかし一家にとっては非常に重大な問題なのであった。

「ビェーン! カイスイ君、もう帰りたいぃぃ〜。えぐえぐ」

 もとからのビビリん坊というのと相まって、もう最強最弱に弱まるカイスイ。ミヅキもそれに引きずられるように泣き出す始末。うう〜む。やはり

カッパで突入というのは、んーどうなんでしょう!?
(ま、このサイズのスーツもパドリングジャケットもないので、しょうがないんでしょうけど)

ちぢこまり、ライジャケ&カッパ星人と化す二人。がんばれよぅ。

瀬を越えて一時休戦。カッパ&ライジャケのお化けと化したミズキは、ただもう会長父さんの言うことを聞くしかないのであった。
あまがっぱ軍団となっている会長一家。どこに座ろうと容赦なく迫ってくる水しぶきに意気消沈気味。でも下らないことには上がれないのだ。

 小さな、しかし飛沫をたっぷり浴びてしまう瀬を越えると、目の前には右に急角度で折れ曲がりながら岩が絡む白々とした瀬が見えてきた。これはポーテージ必死である。すくなくとも会長一家にとっては。

「なぁキコリ君、ここから帰ることはできるかな?」

とアネゴ。すでにカイスイ達の泣きごとにウンザリ、という感じなのであった。

「う〜ん。ここからだと道路に出るのにあの山一つ越えないと・・・高架線の向こうだと思う。道は」
「どのぐらいかかるかな」
「道なき林を抜けて・・・1時間ぐらいかかるかなぁ」
「地図がないからワカランですなぁ」
「うーん・・・」
「そういえば吊り橋があったハズ!そこから上がれるかも」
「そういえば。もうちょっとがんばってその橋から上がりましょうか」
「そうやなぁ・・・あとどのぐらいかな? どのぐらい進んだかな? 我々は」
「どうだろう。まだ出発したばかりだと思うけど・・・半分ぐらい?」
「うーん。7割ぐらいでは?」
「そうか。ではもうひとがんばり。歯を食いしばって先に進もう」
大きく水をかぶった瀬の下に高難度の瀬を発見。とりあえず上陸する。すでに桜を観賞する余裕がばくなった会長一家。藪こぎをして子らを抱えてポーテージ。
あくっちゃんの記憶を裏切ってどんどん深い谷になっていく阿仁川の両岸。日が射し込まなくなってきて体感温度が下がってきた。シーガルのキコリも少し寂しくなってきた。

 気がつけば岸には桜。しかしながら今日に限っては。あぁ、今回に限っては。

 なんとかこの瀬を乗り切り、再び出発。しかし「あと3割進めば到着」という予想を裏切り、どうもキコリ的には見慣れた阿仁川の様子というアンバイになってきた。つまりここから阿仁川下りが始まるというか。やっとスタートラインにたどり着いたといったような。

 両岸は再び高くなって少しばかり傾いた太陽の日差しを阻み、川底からの光の反射も少しずつ少なくなってやにわに黒い、影の川になってきたのだ。急に体感温度が下がる。それは今日は天気もいいし気温も高いから大丈夫だろう、とたかをくくってシーガルでやってきたことを少々後悔するほどなのだった。であるからカッパ部隊にはさらなる驚異だったであろう。

 落ち込みで再びたくさんの水を浴び、ついに意気消沈した会長一家。上陸し、暖をとることに。といってもなにも暖かい食べ物はない・・・飲み物でさえ。ただただ、乾いた岩の上に服をおき、少しでも乾くようにと祈る。しかし弱々しい午後の日差し。望むべくもない。

 カイスイ達は冷たい川の水をザンザカ浴びてしまっていて、背中は丸まり、歯の根は合わず、小さな体が細かに震えていた。低体温症というわけではないのだろうが、できれば今すぐにでも川下りを中止すべき状態になっていることは確かそうだった。こうなってきて初めて

途中出口のない阿仁川を恨めしく思う

ふーとっちょの暖かキコリが気合いを入れ、両の手でカイスイをしっかと暖める。と、しばらくして体のふるえは治まった。

「 ねぇ〜、なんでかえれないの?
かえっちゃだめなの?
 カイスイ君、もうかえりたい。
おうちにかえりたいよ〜〜〜 」

と泣きながらも力強く主張するカイスイに対し、

「お母さんだってなぁ、帰れるもんなら帰りたいわっ!」

っとまぁ、このような状態でして(-_-)。ハイ。それを

「出口がない以上、先に進むしかない。さあ、行くぞ!」

と芯の強さを感じさせる会長の一言で再出発。

 そのような決意で少々進むとすご〜く高い位置に橋を発見。そして

おお! 両岸に古道があるではないか!!

もしかしたらここから帰れるのではないか!? と素早く上陸して道を探すが・・・どうやら使われなくなってしばらく経っているらしく、道の両端は崖崩れで先に進めないようだ。調査に行ったあくっちゃんと会長が肩を落として戻ってきた。うーむ。上には牧草地のようなものが見えているのにたどり着けないとは口惜しい。

上陸地点を探すが、ここからはムリなようだ。

 一同肩を落として、しかし再び気合いを入れ直して出発。いったいどこまで行けば上陸できるのであろうか? そして今、我々はどの程度まで進んでいるのであろうか? このとき、この質問に答えられる者はいなかった。あくっちゃんはの記憶によれば

もう7割は来たと思う。程なく到着できるのでは?

であるし、キコリの記憶によれば

まだ半分ぐらいでは? 見ていない風景たくさんあるし

という感じで、アネゴの「まだなん? まだつかへんの? あとどのぐらいあるん?」という質問にはとうてい答えられるレベルではないのだった。しかし出発からもう4時間。15時を少し回ったぐらい。そろそろ帰りの飛行機の時間が気になってくるところ。しかし未だ出口は見いだせない。それはまるで10年にも及ぶ不況から未だ脱出できない日本経済のようではないか! あーイヤイヤ。給料が下がるのはイヤ。残業が増えるのもイヤ〜ン。

 などということをぼんやり考えていると、日陰だった阿仁川がほのかに明るくなってきた。ようやく峡谷地帯を抜けるのかな? 

「おお! 再び橋だ〜〜!!」
「小さい橋もある〜!!」
「なにっ! ホントかっ!!」
「これは上がれるかも〜〜」

ということでようやく上陸地点を見いだした我々なのであった!! ヤッターー! あとで知ったのだがこここは萱草と言うところであったらしい。

さらに20分ほど下ってようやく上陸できそうなところを発見! 
やっと阿仁川のゴルジュから解放されてほっと一息した会長一家は日向のにおいのする道路で待機。アクツ、キコリ両名はこれより車を回収するため阿仁合い駅へ超特急にて向かう。

 すでに大変弱まっている山口会長に代わってリンクスを水揚げし、ひとまず道路上がってカイスイ達をひなたぼっこさせる。もうみんな大変衰弱しているようであるし、上陸したらしたで今度は濡れた服がだんだん冷たく感じてこようから、ここからまた時間との勝負になるのである。

 すぐに車をまわしてくるからそれまでにできる限り片づけておいてくださいねと言い残し、ここの地形、そして橋の色と道の形を安普請なキコリの脳味噌にインプットし、あくっちゃんとともに阿仁合駅に置いてある車を取りに、間髪入れず出発する。あぁ、一休みしたいなと思う間もなくの出発なのであった。

 しかしまー、ここからの行程もまた長いことよ。

「ちょっと君。さっき、あそこまでで7割は来たとか言ってなかった?」
「んー誰かがそういってたような気もしますな」
「だれかってチミだよチミ! ガルル〜」
「あそこでやっと半分って感じじゃないの?」
「そうかもしれまんな。ウム。」
「もう30分も休みなく漕いでるんですけど(汗)」
「もうすぐ着くかもという気がチットモしませんな」
「なぁ。ほんでもって再び峡谷突入なんですけども」
「うおっ! 結構な瀬。途中で上陸してもらってよかったねぇ」
「おおっ? 鉄橋と線路が見えてきた」
「ということはあそこに例の雪渓があるのでは?」
「あぁあの土に覆われた雪渓?」
「ということはもうすぐ阿仁合駅かな」
「本当でしょうねぇ(ー_ー#)」
「これ、途中で釣りなんかしてたら絶対着かなかったねぇ」

 結局1時間も休みなく漕いで、ようやく阿仁合駅裏手の河川公園に上陸。前から気になっていた吊り橋はこの公園からわずか500mほど上流の位置にあるのだった。途中上陸地点としてこの橋を目指してきたのに、もう、こんな上陸地点間際にあるとは。あぁ、途中で上がってもらってよかったのぉ〜。

ほとんど休み無くこいで漕いでこぎまくってようやっと阿仁合駅裏の公園に到着。ついてみて考えると、会長が上陸したところでやっと半分と言うぐらいの行程だったのだなぁ。なぁ! あくっちゃんよ。
会長が流したビールは、キコリの手に拾い上げられるまでに数々の人生経験を踏んできたようであった。つまりベコベコで中しゃわしゃわ。

 このような感じでようやく阿仁川からの脱出をはかった我々は素早く車を回収し、会長一家を回収し、自分たちのフネを回収し、ドタバタドタバダとあわただしく秋田を後にしたのであった。すでに電池が切れて微動だにすることもなくなったあくっちゃんを横に夜通し東北道を南下、翌日2時にようやく茨城県の集合場所に到着。

ああ〜チカレタチカレタ!

そして朝5時には会長宅に居候しているキコリ。そこで

「こんどはこわくない川につれてってね」

というカイスイの一言を聞いて、なんだかホッとし、終わりよければそれでよし! と思える結末になった阿仁川下りなのであった。今度は装備を充実させて挑みましょう♪

以上である!

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