カヌ
霧と白波、但し大波の利根川

貸し切り状態の利根川は人情たっぷり の巻



 

以上前説


 相変わらず朝に弱いあくっちゃんを何とか起こして、部屋を出たのが7時。途中コンビニで弁当を買うも食べる時間を惜しんで走りながらの朝食。うーむ。

その焼肉ビビンバの匂いを何とかしていただきたい!

等と思いつつも雨と濃霧の日光戦場ヶ原を走り金精峠の越えトンネルを抜けると、程なくして沼田市に到着した。すぐそこは利根川である。週末の雨でどの程度増水しているか分からなかったが、今回のコースはまぁ銚子橋下の駐車場から沼田市駅前の橋ぐらいまでを考えていた。先週は月夜野町の矢瀬橋の所からひとりだったが、今回はあくっちゃんが一緒である。肩の調子はイマイチとは言っていたが、まぁ、なんとかなるか・・・と、

あんですか! コリャ!!
あんでしょーねぇ・・・

 下見にと立ち寄った矢瀬橋のちょっと上の瀬は、なんと言うか凄い状況になっていた。二つの大きな岩によって狭められたその間を重々しい利根川の冷たい水の塊が流れ込んできて、あんだコノヤロー!とばかりに怒髪天をつくの勢いで空中にその怒りをぶつけている。つまりすンごい大波になっているのである。でも流れは素直そうだから、波が大きくてその先が見えないことを除けば難しいような感じではないし、なんとかなるかぁ、、、と気楽に考えていると

弱気にボーッと川を見るあくっちゃんがいた

ちょっとスゴイ事になってる瀬
「どどど、ど〜しよ〜ぉぉ〜」などと、トノのまねをすることはないんですゾ(笑)
「大丈夫!キミならやれる」って去年の今ごろもこの川で言ってたなぁ、オレ(苦笑)

 そんなあくっちゃんをよそに上流を目指す。今回のスタート地点は計画通りであれば銚子橋の下からだったのであるが、川沿いの道路から偵察するも霧で川の様子が見えないのであり、見えてもどこもかしこもマッチロケで、竹林で所々見えないところもやみくもにあくっちゃんの恐怖心をあおってるフシもあり、そんなことで結局の所

上牧駅目の前の橋のたもと

上牧駅目の前の橋
上牧駅の目の前の橋。こちら側の岸からエントリできるスロープがある。
駅は対岸、坂を上った先にある。
今回の駐車場
近くによい駐車場がなかったのでホテルの駐車場をお借りした。
ホテルの人は快く承知してくれた。

をスタート地点とした。ここはラフトの上陸地点にもなっているらしく、都合よく川に出られるようスロープ(?)がある。小さいがカヤック2艇には十分である。そんなわけで上牧温泉ホテル受付のおねいさんに駐車場使用(もち、タダ!)のお許しをいただき、んじゃいっちょやったりまっかぁ〜〜と出発したのであった。

出発侵攻あくっちゃん
しゅっぱつ、しゅっぱぁ〜つ! 川の流れは異様に早い! うっひょひょ〜い♪

 今週の利根川も川の上に濃く霧が発生しており、前が見えない。ゴーゴーと瀬の音だけがブキミに聞こえてくるという感じである。こんな状況で離ればなれになってもしも沈脱なんかしたりすると、そんなことに気付かずに川下りを続行してしまうなんてことになってしまい、たとえばあくっちゃんが流されてしまうとすると

キコリは家に帰れないという憂き目にあってしまう

ので超接近密着航行ということにした。逆に瀬の中でぶつかったりするとそれはそれで大変なことになったりもするのだが・・・ :D
 それにしても早い。とても早い。時速10Kmは出ているのではなかろうか? よく川下りのレポートで「風景が飛ぶように流れてゆく」なんてフレーズがあるけども、それは今回の利根川こそピッタリマッチするのではないかと思った。

飛んで行く風景
飛んで行く風景。「タダの川ではないか!」と言われてもしょうないアングルにて撮影しております(^^;

 下り始めてからの川の様子は流れこそ速いもののとても素直で快調そのもの。視界が悪く次になにがくるか分からないという緊張はあるが、つかず離れずの距離で突き進む。今回は漕がなくても進むので楽だ〜と思って1km程下ると、霧の中からうっすらと赤い橋が出現。同時に「おほぉ、これは!」というような瀬が出てきた。あぁこりゃ気持ちイイヤァーとドンブラコッコ、ドンブラコッコと波と戯れているとアレレ。あくっちゃんがいないことに気が付いた。

ありゃいない。これは一体どういうことだろーかぁー

 大きな波の中でグリンと後ろを向くと、あわれ、あくっちゃんはすでに沈脱していたのであった。速い流れ、大きな波。こんな中でレスキューは出来ない。瀞場を待つか・・・にしては水温が低すぎるが、まぁ、今回もドライスーツのあくっちゃんのことだ。大丈夫であろう。ということで、そっと差し出したキコリのスターンをつかみ損ねたあくっちゃんはどんどん流されてゆく。うーんこれはどうしようかな?

 とりあえず! とトゥーイングベルトに手を回すととたんにバランスを崩す。というわけで

き:「あーどーしましたか?」
あ:「ゴボゴボ!」
き:「あーチミ。とりえずスターンにつかまりなされ」
あ:「ガボゴボゴボ〜」
き:「早くつかまらないとどうなるかわかんないよ」
あ:「ムガー! プハッ」
き:「(^o^)/どこいくんだー」
ゴゴゴゴゴー

 沈脱してフネと一緒にながされるあくっちゃんは、キコリが精いっぱい差し出したスターンのガイドーループにつかまることなく、真っ白な瀬の中に見え隠れし、いつしかキコリを追い越して行く。あーコリャどしたものかなぁー、と

ザ・ポジションで流される様子をじっくり観察されつつ

橋を過ぎたあたりの浅瀬であくっちゃんは自力着岸を果たしたのであった。

とりあえず沈脱したあくっちゃん
とりあえず自力着岸したあくっちゃん。いきなり意気消沈である。うーむ。

 さて気を取り直して出発。あくっちゃんは沈脱によりやる気を少々そがれてしまったようであるが、川は無情にも流れる。ごぅごぅ。
 目の前には分流してその先に真っ白な瀬が見える。左岸側は流れが岩壁に激突しているような音がしたので、真っすぐ下る。すぐ下にはダムの放水口らしき建造物があったが今日のところは放水の様子もなく、スンナリ通過。しばらく進むとバックウォーターらしい流れになり、霧の中からダムが出てきた。これが月夜野町のダムかな?

月夜野ダムか?
危険近寄らないでくださいとある。よい子は言うことをまもるベシベシ!


月夜野ダム
月夜野ダムは左側が滑り台上になっており、下りおりることが可能なのだ! というかポーテージできない

 ダムの左岸はとりあえず降りれそうだった。そういえばここのずっと先にラフト屋さんがあり、どうもそこまでは下っていそうなのでここもいけるんだろう。フネの底をズコズコいわせながら通過する。

ズコズコズコ
ダムの左岸は降りられる。但し底の頑丈なフネに限る。

 それにしても放水口の辺りの流れはオソロシイ・・・。凄い勢いで川の水が飛び出している。で、ダムの左側は案の定巨大エディー状になっており、その流れも早く出発にてこずる。こんなことなら陸をエッチラコッチラ歩いた方が早かったのではないか? というスピードでエディー脱出。

 すると今度は大きな橋脚が、たぶん上越高速道路だと思うがそんな橋脚が見えるところに突入。ここも波がでかい。

しかも大岩の後ろにはオソロしいエディフェンスが!

ダムの下は多いわ巨波地帯だ
橋脚が見る一帯は大岩と巨波地帯だ! 気が抜けませんな〜。ウケケ

結構な大波及びエディだっため写真もロクに撮れずに通過。とりあえず大迫力だったことだけ胸にとめておく。そうして大波エディ大岩の大迫力地帯を何とかこぎきると視界が開け、流れもおとなしくなってきたのであった。もうそろそろ矢瀬橋の辺りであった。

フィー! フィッフィッフィーーッ!
き:「!?」
あ:「??」
き:「あれ?なんか笛の音が」
あ:「あーあそこの梁の所の人だ」
き:「この先になにかあるのかな。そういばイヤな音がするけど」
あ:「監視員かそんな人だったらどうする? 」
き:「まぁでも行ってみましょか、とりあえず。人の親切は素直に受けるものだ」

 こんな楽しく下ってきた利根川、もしかしてこんなところで呼び止められて 「増水してて危険だからここで中止しろ」なんていわれたらヤダなぁ。それにとりあえず駅の近くまで行かないと車の場所まで戻るのも難儀するし。ここから先もおもしろいところ沢山あるのになぁ・・・。まぁ、しょうがない。。。とフネを岸に寄せると開口一番

どっから来たんだ〜?

 陸に上がってちゃんと見ると、ナニヤラ普通のオジサンである。しかも笛ではなくて口笛であったようだ。しかもそのオジサンのまわりはやはりオジサンでちょっとした人だかりである。

オ:「どこから来たんだ?」
き:「あーえっ、上牧の橋の所です」
オ:「どこまで行くんだ?」
き:「沼田の駅の近くの橋までです」
オ:「今日はかなり水かさあるけど大丈夫なのか」
き:「いやまぁ、こういう日の方がおもしろいですから」
オ:「そうか!それはすげぇな!オリャア、そういうの好きだ! ちょっとよってけ!」

 陸に上がってオジサン達のいる梁まで行くと、オジサン達はニコヤカな顔でビールを携えやってきた。我々を口笛で呼んだオジサンが嬉しそうにいろいろな話をしてくれて、しかも

景気づけだ! とビールを2本いただいた

ビールビール!
おまえらみたいの好きだから! とビールをごちそうになる。おかげでパドリングがヘボヘボに(^^;

グビグビ。どうやらこの方達は会社の宴会か旅行かでこのヤナに来ていて、とりえずマッタリと宴会などしていると珍しいものが上流から流れてきたので呼び止めたということらしい。ビールはややぬるくはあったがおいしくいただいた。今までこんな待遇にあったことはなかったのでちょっとビックリしたがいいオジサン達であった。岸から離れると宴会場からのお見送りということで、写真をばしゃばしゃ撮られつつ

ケガなんかしたら承知しねぇ〜かんなぁ〜〜

とハゲシク見送られたのであった。

 このようにして胸がほんのり温かくなった我々は、しかし気を新たに出発したのである。なんといってもこのすぐ下は午前中に下見していたおっかなそうな瀬である。気を引き締めて本流突入!

ファイト〜〜〜!!
いっぱぁ〜つッ!!

おっかなそうな瀬に突入!
下見したときは怖そうだったけど、入ってしまえばなんてことはなかった瀬。
度胸一発、ファイトは二発。3時のおやつは文明堂、ってなもんである(謎)

とあくっちゃんが言ったかどうか定かではないが、そんな気持ちで瀬に突入するとザップンザップンと翻弄されつつも、割合あっけなく攻略完了! 利根川の流れは素直なもんなんである。

 そんなわけで矢瀬橋の下流200mの所と、月夜野町のLEDが回る電光掲示板の橋の所を過ぎるとこれといって大きな瀬もなく、沼田市に突入。

波が大きい
川下りの興奮を皆様に! とか意気込んでいるとこんなわけの分からない写真が。
とりあえず大きな瀬を下ってるときのパドラーズアイではこんな感じ。前が見えません(ウハー)

国道17号線の大きな橋の下を過ぎる頃には流れも分流し、ここまで来るとどこが本流なんだ〜と利根川に少々の疑問を発しながらの川下りとなった。最後、橋のちょっと手前で大きめの波がたっていて、油断したキコリはややスクウォート気味に、簡単にいうとウィリー気味に突破するとやっとのことで到着予定地点である地蔵橋に到着したのであった。

 今回の川下り、時間にして3時間である。これ程流速があったにもかかわらず3時間かかったのはひとえにヤナのオジサン達にかわいがられていた為であろう。いいことだが。

おーい、おまえら。ちょっと来い!!

 な、なんだなんだぁ〜? コレで気持ちよく川下り終了かと思ったらまたまた呼ばれてしまった。しかもなんだか川の番人くさい。地蔵橋のたもとにテントを張って陣取っている。しかもおとりアユのマスがおいてある。おまけに昼間っから酒飲んでるぞ! 大丈夫か! 近付いて!!

こんな日に川遊びしとるなんて、おもしろいヤツラだな
飯喰わしてやるからちょっと来い! ホラ。 ホラ早く!

 威勢はいいが、なんだかいい人そうである。とりあえず怒られるようなことはないらしい。早速おこぼれはないかと近付いてみた。で、濡れたままでいいからとりあえずここに来て座れとおっしゃられている。はぁ〜い。

オ1:「声かけてよってきたのは今年はおまえらが始めてだ」
オ2:「あつかましいヤツラだな(笑)」
オ3:「水は冷たかろう。とりあえず酒飲んでけ。あったまっぞ」
き:「あーえっ、はっ! これはこれは。」
オ1:「遠慮すんな。ホラホラ、サァサァ」
オ2:「おまえらどっから来たんだ」
き:「えっはっ、えと栃木です」
あ:「えと、茨城です」
オ2:「そりゃまた田舎からよく来たな!」
オ1:「ここも田舎だかけどな(笑)」
オ3:「ホラこれも食え。遠慮すんなよ」
あ:「はっ、いただきます」
オ1:「こんな増水してる日に川遊びするなんてバカだな!」
き:「えぇ、そうなんですよ(笑)」
あ:「途中波が大きくて大変でした」
オ3:「そりゃそうだろう。ダムの点検とかで放水してるからな」
オ2:「おまえら学生か?」
き:「え、あ、いや、一応会社員です・・・(^^;」
オ2:「どーせ彼女なんていねぇんだろう。バカだかんな」
き:「アハハ。まぁ、そうなんですよ」
オ3:「ホラ。遠慮しねぇでもっと食べろ。これも。ホラ」
オ2:「おまえらここで貸し作ったんだから今度来るときはなにか持ってこいよ!」
き:「じゃぁ、ステーキとかでいいですか?(^^;」
オ1:「もってくる時はいっぱい持ってくんだぞ」
オ2:「ス、ステーキか。う、うん、いいなっ」
オ1:「こいつはステーキ食べたことないからな。喜ぶぞ」
オ2:「ステーキぐらい食べたことはあるわっ!」
オ3:「まぁ、そんなこと気にしなくていいから、ゆっくりしていけ。そしてまた遊びに来い」

気のいいオジサン達
川遊びをするヤツに悪いやつはいない! と豪語し、それを実践する気持ちのいいオジサン達。毎日ここでたむろっているらしい。

といったようなお話で些か盛り上がり、日本酒・焼酎・ちくわ・チキン唐揚げ・きゃらぶきなどをタンマリいただき、ゲッフゥ〜とごちそうになったのであった。そしてアルコールも全身に程よく回り、体があったかくなってきたところでごちそうさまと宴会場を後にしたのであった。なんともまぁ、やさしいオジサン達である。群馬県のオジサンはいい人ばかりなのであろうか? また来年も来よう。

 ということで岸でとっとと着替えて沼田駅に3時ごろ到着すると、下り電車は今出たばかりということで次の電車で1時間待ち。のんびりと駅舎でウダウダやりつつ、ゆっくりと出発地点に戻り、その後、諏訪峡をつぶさに観察するなどして谷川岳温泉の湯テルメなどというこじゃれた名前の温泉にトップリ浸かり、帰りは沼田市の焼肉屋

牛王というお店。イラストがおちゃめ
イラストがおちゃめな牛王。なにを食べても美味いぞ!

牛王というお店でこみっちら夕食をいただき

沢山頼んだのだ
全部で1万円弱かな。それにしてもよく食った。お肉は上州牛だそうで大変やわらかく、且つウマイ!

あろうことかごちそうを残してしまうという手痛い失態を犯してしまいながらも、大波楽しい利根川を後にしたのであった。

とりあえずビール
ビールはモルツに限る党、会員ナンバー4番のあくつ隊員
マンプクあくっちゃん
出された物は全部食べなくてはいけない。これ鉄則。

 ところでこの焼肉屋、お肉が大変おいしいので、付近にお立ち寄りの際にはぜひ立ち寄っていただきたいと存ずる。よってよって寄り切っていただきたい!という感じだ。それほどまでにオススメである。安いしね。




本日の成果

その1あくっちゃん沈脱1回
その1きこり、沈8回(但し撮影のため)
その1ビール2本
その1日本酒2合
その1焼酎3杯
その1ちくわ一袋
その1チキン唐揚げ1パック
その1きゃらぶき取り皿1杯
その1露天風呂(谷川岳温泉湯テルメ)
その1牛王で焼肉沢山
メニュー 数量 お値段(@)
ライス大盛り 2膳 250円
ライス 3膳 200円
モルツ(ジョッキ) 1杯 650円
生ビール(ジョッキ) 2杯 600円
上タン 1皿 800円
上ミノ 1皿 700円
和牛カルビ 1皿 800円
ヤングカルビ 1皿 480円
和牛ハラミ 1皿 700円
ミスジ 1皿 400円
ギアラ 1皿 400円
サンチェ 1皿 300円
ニラチヂミ 1皿 500円
スジポッカ 1皿 550円
コムタンスープ 1皿 500円
まんぷくまんぷく ごちそうさま♪ 9534円!
その1食べ残し少々

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