カヌ
雪代水の伊南川

雪解け中の伊南川は大増水! あくっちゃん流血! の巻



 尾瀬を散策した行き帰り、なんだがすげ~川があるなぁと運転しながらボンヤリ眺めていたのであった。尾瀬は5月から山開きということでようやく今ごろ雪解けの最盛期らしい。上流も上流だから岩も多いのだろうが、そんなところに雪解け水が大量に流れ込んでいるもんだから川は真っ白であった。

ほへぇ~、真っ白だぁ~
濁流ッスよ! 濁流♪
濁流じゃなくて、こーゆーのは激流とかいうの!
ほっへ!
それにしてもすっごいホワイトウォーターだなぁ・・・

 こうしてキコリはフツフツとこの川を攻略する作戦を練り上げていったのであった。

以上前説


 6月3日、7時。定番の吉野家で朝飯を取ったキコリとあくっちゃんは塩原町を貫く400号線の木々のトンネルをくぐり抜け、福島県田島町に入るやいなや352号線に乗り込み西へ西へとひた走り伊南村のT字路へ到着した。

うお゛お゛! 真っ白だーー
だっしょ! どーよどーよ♪

 橋の上から見えるだけでも川は真っ白でかなりの水量があることが分かる。それに流速もかなりありそうだ。これは予想よりハードな川下りになりそうだ・・・。上流へ、さらに上流へと車を進める。事前に軽くネットでこの川の様子を調べてみたものの、この川を下ったというレポートはない。それに最近仕事が忙しく、この川付近の地図を入手することはできなかった。要するに未知の川である。川下りをするには下見がかなり重要であるが、今回この川の状況を知ることが出来るのは自分たちの眼と6万分の1地図、それにアクツ号に搭載されている割と最先端のナビ、この三点だけである。

 地図にのっているのは高畑スキー場のほんの少し上流にある鱒滝と小豆温泉近くにある二重滝だけである。初めの橋からこの鱒滝までは大きな堰堤は無いようである。1mの高さほどのものが幾つか、程度であろうか。ま、ポーテージは問題ないみたいである。

 それよりも鱒滝である。

鱒滝の案内板
どうやら由緒ある滝のようだ。なにやら全日本でも珍しいとある。なにかは分からないが。うーむ。

 この鱒滝はその昔、この滝を登ろうと鱒が飛び跳ねるところを網ですくって漁をするところからこの名が付いたということで、確かに結構高さがある。案内板には落差6mとある。どれどれ。

うお゛お゛! なんだこりゃ!
しゅっ!・・・ぉょーーー

これが鱒滝
うーん。スイートな落ち込み♪ ここに飛び込んだらさぞ気持ちいいだろうなぁ、と思うような滝であることよ。ホホホ

 滝までは階段上に流れが落ち込みつつ徐々に狭まり、滝のところで一気に落ち込んでいる。かなりのパワーだ。高さはうーむ、3mぐらいか? 滝つぼはかなり深いようで小さな泡が一面に沸いている。ただ流れは素直そうだ。

オレ下で写真取るからあくっちゃん下ってきてね
いやぁ~・・・どこからポテてるかな? うーむ
いやぁ~、逃げ場所はちょっとないだろ。

ここら辺からアルパインじゃない? やっぱ
ウーム
うーむ

 結構難所っぽいがある意味絶好の撮影ポイントである、メモメモ。ドキドキうるさい心臓音を無視して上流へ向かう。次は小豆温泉の二重滝を、と思っていたがその前にかなりの高さの堰堤があった。うーむ。これは要注意である。とりあえずは右岸側からポーテージできるかな・・・という感じである。ちなみに二重滝は支流にある滝で川下りには全く影響はないといえよう。

堰堤の下流
あーここはおいしいなぁ。かなりおいしい! ここを下るとさぞ気持ちよかんべなぁ~♪
 とついつい方言がでてしまいそうな感じの瀬

 さらに上流に進む。と、ちょっと開けて大きめの砂利の広場があり、河川公園になっているようであった。名前は・・・よく分からないのであとで調べておきまフ。けどもここもうーむと唸ってしまうような流れなのであった。公園から見えるところでは右岸川の柱状石が張り出していてちょっとアンダーカットぽい。それより何よりこの落ち込みもまた勇気がいるなぁという感じであった。

というより、この落ち込みはなんだぁ~!!
S字型の滝
超強力バージョンのS字型の瀬。というより滝か!? とりあえず突入は避けておいた方が無難であるようだ。
少なくとも晩メシにいつも通りたどり着けるという保障はだれもしてくれないであろう。

 6級はある。確実に6級はある!! そう思わざるを得ない落ち込みがあるのだ! これは絶対ポーテージだ! 死にたくなかったらポーテージだ! ポーテージといったらポーテージだ! この落ち込みを見た二人は即座にあの状況を思い出した。

この落ち込みは鬼怒岩の滝をも凌駕するかも・・・

ブルルッ

 まぁ、そんな感じでさらに上流を目指し、流れの早さを考慮すると1日で10Kmぐらいは下れそうだからと、もうちょっと上流、もうちょっと上流と車を進めると、このへん辺りが妥当だろうということで結局スタート地点は

アルザ尾瀬の裏側

ということにした。ここなら大きな駐車スペースもあるし、バスの停留所もある。適当なところで川から上がれば割とスンナリ帰ってこれそうである。というわけ出発。

あわわわわわ~~~!!

 川岸が急な坂道、というか半ば崖になっていて、「艇を持って降ろすのが面倒だなぁ~、これは艇にエントリーしてもらおう」と坂の上から艇を蹴飛ばすと、あくっちゃんのインフラレッドはドッコンドッコンと岩にぶつかりながらスゴイ勢いで坂をかけおり、あわや川の藻くずというというギリギリのところで止まったのであった。

 そんなわけで出発である。

出発
結構水が冷たいんだよね。さすが雪代水流れ込む伊南川である。サッサと出発したい。

 結構上流まできただけあって、岩が多く、流れも複雑である。それに至る所に倒木があって気が抜けない。ルートをひとつ見誤れば倒木ストレーナーにつかまって大変なことになる。とはいえ水量はたっぷりあるので本流さえ外さなければ快適な川下りである。まわりの風景や川底が飛ぶように後ろの流れていく。まるでジェットコースターにのっているかのようだ。

沈脱あくっちゃん
出発と同時に沈脱してしまったあくっちゃん。
めちゃ浅瀬でひっくり返るというのはかなり高度なテクニックなのではないかと感じるキコリであった。

 所々前がよく見えない落ち込みに出会う。ただ余りイヤな予感はしない。こんなときは「ふぁいとぉぉ~~! いっぱぁあぁあぁ~~つ!!」とばかりに突っ込む。ここのところ余り激しい川下りをしていたわけではないが、今日に限って勘が冴えているのか、気持ちよく落ち込みを下りすぎて行く。水温が低いだけに指や腕はだんだん感覚がなくなってゆくが、顔にかかる水しぶきは気持ちいい。それに今日は晴れてて木々も青々としていてとっても気持ちいい。あぁ~、カヌーやってて良かった!

小さなウェーブ
ちーさなウェーブを捕まえて遊んでみる。
こういうのものんびりしてて結構楽しい。
 
ロディオでしょ
こんな感じのドロップは沢山ある。
気の済むまでエンダーしたらあくっちゃんが流れてくるから、
そうしたら川下り再開だ~♪

あれぇ~、この雪のようなものはなんだ?

 ちょっとした瀞場になったかと思うと、牡丹雪のような綿のような、そんなものが頭上にフワフワしているところにでくわした。初夏の爽やかな日ざしによって青々と照らし出された木々がキラキラと輝く水面に写り込み、このなんだか分からない綿のようなものがその上をフワフワと漂っている。こんな風景は初めて見たが、なんだかとても神秘的な光景であった。

 程なくトザザーという落ち込みの音で現実世界に引き戻された我々は左岸にいまだ太陽の力に負けていない、大きな残雪を発見し撮影のため上陸。3mしほうほどの大きさの残雪が崖を滑り落ちてきたのか、4つほど川岸に残っていた。さすがにこの陽気でポタポタ落ちる雫が水たまりに波紋を作ってがいたが、まだまだ解けそうな感じでは無かった。

雪崩だ!
もう6月だというのにこんなに大きな雪の塊がある。南斜面だというのに。
一体どうなってんだ!? なじょ

 さて上陸したのは撮影のためだけではない。なぜかここの落ち込みの音には嫌な感じを受けたのであった。早速下見に入る。

下見中
こりゃダメだ~という様相のあくっちゃん。そーかそーか。うむうむ、わかった。じゃ、下ろう(笑)
うぅーーん。これはどうかなぁ
うーむ。
一応入るなら右岸側からだけどね
それはちょっと無理なんじゃない。すぐ岩あるし
そうだねぇ。一歩間違うとピンするねぇ。
ここはポーテージでしょ。
いやぁ~、それは面倒だなぁ・・・

いや、ここはポーテージでしょ

うーん、そ、そうですか・・・・・・うん、そうしましょ
ポーテージした落ち込み
こんな感じの岩絡みの瀬はっけこうある。
だたここだけは正解ルートがひとつしかなく、それも結構狭いのでポーテージすることにした。
先はまだ長いのら。

 珍しくあくっちゃんがポーテージすると言いきった。そういえばここまで何度か沈脱したんだっけ。弱気になってるのか安全サイドに思考回路が切り替わったのか。まぁ、確かにここは難所っぽい。通過ルートは一ヶ所しかない上に、そこを抜けるにもかなりの操舵力が必要になってきそうだった。幅も狭い。
 結局ぬかるみに足を取られ何度もズッコケながらも大きな岩の上をポーテージし、素早く再出発したのであった。

満点の青空
目に青葉 空 青空の 川下り。最高に気分がいい。これだから川下りはやめられないんだよねぇ~。うしょしょ!

 途中、おじさんが川を横切っている場面に遭遇! といってもワイヤーが川を横切っているというだけの話であって、おじさんは山仕事のため伊南川を空中横断しただけなのであるが。こんな変なカヤッカーに出会ってというのにもビックリする様子もなく、おじさんは熊笹の森の中に消えていった。

空中横断中のおじいさん
山奥にはこういうのは多いのだろうか? 初めて見たが結構ビックリする。
もっともオジサンの方はなに気にすることなく森の中に消えていったが・・・

 この時点で出発から1時間。この流速だとかなり下ってきていてもいいはずであったが、まだ最初の橋も見えない。うーむどうしたものか。このペースでは高畑スキー場辺りまで下るのはどうかどうか? そういえばあくっちゃんは「あ、ここはヤバイかな・・・」というトコロでは案の定沈をし、ロールもことごとく失敗し、水温も低いということもあって気力的にも体力的にも結構ゴッソリ削られた、というような状況にすでになっていたのであった。

 そんなわけでどうやらどこかで沈してなかなかやってこないあくっちゃんを、勢いのある落ち込みのところでエンダーなどを楽しみながら、とか書くとちょっとかっこよさそうだが現実的には落ち込み様に手籠めにされながらモガモガ、ムググと待っていると、しばらくして艇につかまりながらセーフティーポジションで流れてくるあくっちゃんがやってきたのであった。

う~ん、どう? まだいけそう?

の問いに、あくっちゃんはハッキリとは言わなかったが、やはりそろそろ上がりたいような返事をした。とはいってもまだ12時である。下り始まって2時間しか経ってない。たぶんもうそろそろ橋が見えてきてそこから上陸できるとは思うが、そこまでここから30分もないだろう。うーむ。キコリ的にはもっと下りたいがあくっちゃんはこの調子だし、そういえば先週は欲張りすぎて痛い目を見たのであった。

じゃぁ、とりあえず橋の所までは行こうか
おぅ!

 と、川下りを再開するとなんと橋はすぐに出てきてしまった。ありゃ!? 目論見違いですな。うーむむ。

おや?
あれ!? 以外と近くに橋があったのね。こりゃおじさん一本取られたな~
と即座にオヤジ化するキコリ。
まだ時間も早いしさ、もうちょっと下ろうと思うんだけど
うーん。
下見によればここからは流れもゆるやかなんだよね
そういう風には見えるね
それにここ、なんかイイ所そうじゃない?
そうだねぇ
小豆温泉にはバスの停留所もあるし、そこまで行こうよ
そうだねぇ、そこまで下りますか

んじゃいきますか!
おぅ!

 橋の下流からは川幅も広がり、川下りも楽そうである。右岸がはは根っこが洗われたのか、ぐにょ~んと曲がってやるせない感じの木が何本か川に頭を突っ込んでいたが、そのわきを通って進む。

いよいよである
強力そうな瀬を前に息を整える我々。それにしても真っ白な瀬ばっかりだなや

 何カ所かいやらしい落ち込みを過ぎて、あくっちゃんが沈をすると今度ばかりは! といったような感じの落ち込みの音が聞こえてきた。両岸とも岩がせり出して川幅が一気に狭まり、真っ白になっている。階段上に落差があり、段を降りる毎に流速も増しているようだ。ただこの20m程の区間を過ぎるといったん瀞場になってちょっと休憩できそうである。下見をして慎重にルートを検討する。

じゃぁオレ、先いきま~す!
ピリリリリリィーーーッ

 あくっちゃんが下流のフライフィッシャーに合図を出すと同時にスタート。いったん上流に漕ぎあがり、デッキが喰われないよう艇を傾けて本流に入る。気合いのパドリングで速度を稼ぐ。さて! いくぞ!!

ドン、ドドーーン
ヌぉうりゃぁ~~~!
ドッパーン、ザッパーン
バッシャバッシャバッシャ
ゴゴゴゴゴーーーーー

 階段上の落ち込みに入ると目の前は真っ白で前が見えない。艇は前後左右に大きく揺さぶれるが気合いのパドリングと、本能的ローブレイスによってバランスを保つ。轟音で耳からの情報も皆無の状態たが、こんなときほど神経を研ぎ澄まし自分の姿勢をイメージする。なーに、力いっぱい漕いでいれば大丈夫。後は艇が自分自身の力でもってオイラを沈することなく瀞場に案内してくれるはずだ、と冷たい川の水を顔面にバッシャバッシャと受けながらほとんど目をつぶった状態でパドリング。

 すると程なく、瀞場にツポンとたどりついた。ふーーっ。スイープ一発で上流に向くと、うーむ、真っ白である。スゴイ流れである。おほーー、オレはこんなところを下ったのか。スゴイなぁ! と自画自賛の境地であった。

気の抜けない瀬
結構難所っぽい瀬。
上から見るとたいしたことなさそうだから、下から見上げると大迫力なんである。

 さて次はあくっちゃんの番である。うまく下ってこれるかどうか。でもまぁ、流れは素直であるからちゃんとパドリングさえすれば無事通過できるはずであろう。というわけで大きく手を振って合図を出す。

おーい! 下ってきんしゃい

 あくっちゃん突入! ルートはいいぞ、それにちゃんとパドリングしてる。これならば・・・と思った矢先

ありゃりゃ~~!? ひっくりがえされた!!

 右から左から押し寄せる大きな流れにあくっちゃんはいとも簡単にひっくりがえされ、そのまま落ち込みの核心部分に突入! ヤバイ! そこには岩がある! どうするキコリ? どうなるあくっちゃん!? あくっちゃんはロールポジションのままだ! これは・・・

 そのヤバそうな岩を通過した後、ロールを諦めたのか素早く沈脱し、艇につかまってセーフティーポジションで流されてきた。トゥーイングベルトに手をかけていたキコリの前にあくっちゃんが流されてきた。眼は上陸できる河原を探しているようだったが、あいにくそう簡単には上がれず、ちょっと泳いで右岸側の小さな木につかまり、やっとのことで上陸したのであった。

アイテテテ・・・・
おぉーどうした? どっかぶった!?
耳のところ、切れてない?
耳? 耳は大丈夫だけど頬骨の所、切れて流血してるなや
ん、、肩もやった・・・
肩!? おーどれどれ。
それにケツもやった・・・
ケツ!? おーどれどれ。
そこは見せるわけにはいかねぇってぇの!
あぁ、そうですな。それにしてもまたやられましたねぇ

頭もぶったよ。これ!
おぉ~、擦り傷がいっぱい・・・

いやぁ、ヘルメットしてて良かった。ふぅ
あーこれ、耳のトコロにも擦り傷があるよ。
耳までカバーするヘルメットでよかった!
ホントだねぇ。うーむ
・・・キコリもヘルメットはちゃんと考えといた方がいいよ。ウム
え゛、、、自転車用のじゃダメですか!?(汗)

 耳までカバーする完璧ヘルメットをかぶっていてもこの状態であるから、キコリのインチキヘルメットごときではおそらく耳がなくなっていたことだろう・・・うへぇ! ヤパシ激流下り用にちゃんとしたヘルメット買おっかなっ!

 さて危機は未だ去らず。あくっちゃんの状況を考えるといますぐにでも上陸したいが、あいにく左岸側には岸がない。どうも工事中のようで、残土が結構な角度で崖を作っている。うーむ、どうしたものか。下流にはまたまた落ち込みが大きな口を開けて待っている。この落ち込みを越えれば無事着岸できる岸があるだろうか? しかしここでは着岸できないので行くしかなかろう、やはり。

あのさー、ここおりたら上陸できると思うんだけど
うーんむ
落ち込みもこれだけだと思うんだよね。見えないかな?
じゃぁ、ちょっと見てみる

 というわけで、偵察部隊あくっちゃんが右岸側から山肌に取りつく残雪の上をエッチラコッチラ登って先の様子を確認する。落ち込みの音でなにをいっているかよく分からんが一つ目の落ち込みは問題ないらしい。というか、一つ目!? ・・・どうやらその先にも二つほどの落ち込みがあるらしい。またっスか!

 とりあえずの下見も完了し、一つ目の落ち込みは中央から過激に攻めればダイジョウビということであった。2つ目、3つ目はよく分からんのでとりあえず行き当たりばったりで突入しなければならないようだ。そんなわけであくっちゃんは再び山肌を登り、キコリの通過ルートを確認する。キコリは人身御供状態で3段落ち込みに突入である。深呼吸をして本流に乗り込む。

いくじぇ~~っ!

3段落ち込みバードビュー
先がどうなってるかよく分からない連続落ち込み。これはもう、飛び込むしかない!

 この「いくじぇぇ~~っ!」と言った先からの記憶がイマイチ曖昧でよく思い出せないのだが、ともかく一つ目の落ち込みを越えるとすぐさま2つ目の落ち込みが待ちかまえており、ここをエイヤっと通過したと思ったとたん、三つ目の落ち込みが左ドッグレッグの状態で、しかもなんとあろうことか

2つ目の落ち込み
おおなんだ! 改めてみると結構でかい落ち込みじゃないか!
よく無事に抜けてきたなぁ~。感心感心

本流に大岩あり! すごいピロー発生中!

といった有り様で、自分自身も流れに艇の向きをいいようにされていたためこれはもう

どてっ腹をぶっつけていくしかない!!

という状況であった。

ヒェェェーー! 堪忍してっ!!

3つ目の落ち込み
だから本流におっきな岩おいといたのだれだ! まったくもぅ。死ぬかと思ったじゃないか!(汗)

 再び視界は真っ白に・・・気が付くと大きなエディーの真っただ中にいた。どうやら問題の箇所は無事に通過できたらしい。ホッと一息である。さぁ次はあくっちゃんの番だ。オイラの下りングコースは電脳にインプットされたであろうか? しばしエディーでグールグルしながら到着を待つ。10分ぐらい待つ。

遅い。
遅いなぁ~。

どうしたのであろうか?

 とそこへスポンジが流れてきた。

あんだ? コリャ

 とそこへ間髪入れずに大きなものが流れてきた。

ほほぉ、これはどっかで見た風景だなぁ

どっかで見た風景
そうそう。ちょうどここのところに流れてきたんだよね。

 それはあくっちゃんの愛艇、インフラレッドであった。インフラレッドは伊南川のすごい流れに翻弄され、あっちの岩にこっちの岩にドッコンドッコンとぶつかりながら落ち込みをすごいスピードでかけ落ちてくる。しかもあろうことかエンダーしながらやってくるぞ! というか

毎度毎度のバーチカル系のワザだ!

 カヤックというものは川に流すと自然と縦回転するものなのであろうか? 前回も縦回転であったし今回も縦回転だ。ふーむ。興味は尽きない。としばし研究に没頭しているとすぐさまあくっちゃんが流れてきた。えーとまずどれを回収しましょうかね?

 まずは一番初めに流れてきたスポンジのような物を拾う。が、これが結構大きいもので担いでみたらパドリングできなくなってしまった。どうしよう?

 どうしようというか、モタモタしいるうちにすぐに次の落ち込みにやってきてしまった。

うぎゃぁ~! 何故後ろ向きにエントリー!?

 スポンジをグワシと掴んだまま、もう、なるようにしかならない。沈するかしないかはこのRPMの基本性能にゆだねるしかない。

ドッパ~~ン、ドッパーーン

 何とか落ち込みを通過。やった! 沈してない。さてこれからどうするか? インフラレッドがもう手の届く位置にあるな。どれどれ・・・と手を伸ばそうとすると、さっきまでしっかり掴んでいたスポンジを流してしまった。うーむ。二兎追う者は一兎をも得ず。とりあえずスポンジを岸にほうり投げてそのあと艇を回収することにしよう。あくっちゃんは頑丈であるからほっといても死にゃぁせんだろ。ということでスポンジをポーン。早速インフラレッドの回収に向かう。すばやく艇の後方から接近し、トゥーイングベルトを引っ張り出す。

ガシッ!

 ドッキング完了! さー後はこれを岸に持っていくだけだ。岸の方はというと、左岸側が開けて道路が見える。瀞場もある。そこに持っていけば無事上陸できるだろうと力いっぱいパドリング。

が、水没したカヤックを牽いてはなかなか前に進まない!

 うげげ~! これはちょっと大仕事ですよ、とえっちらえっちらパドリングをしてもなかなか岸は近寄ってこない。どーしよ、どーしよと思っているとすぐさま大変なことになった。

ぐげげげげげ~~~~!!

 岩である。しかも本流にドデンと居すわる岩。流れが分流している。つまりなぜここで「ぐげげ」になるかというと、賢明なる読者さまならピーンと来るかと思われるが、要するにそういうことで回収した艇は岩の右側に、それを引っ張っていたキコリは岩の左側に位置してしまったのである。ぐぃぃぃ~~んと引っ張られたトゥーイングベルトはすでにいっぱいいっぱいで、キコリの腹をグイグイ締め上げる。スターンは流れで水中に引き込まれ

あわれ、スクウォート状態!

 ひえぇぇー、どうしようどうしよう! と慌てているとほぼ逆立ち状態のキコリの目にあくっちゃんの姿が目に入った。

この状態で悠長に写真取ってやがる・・・(涙)

艇回収失敗!
こんな感じでにっちもさっちも行かなくて大変弱っていたら、写真撮られた。

 とまぁ、そんなわけで写真撮影が終わったあくっちゃんはゆっくり艇を回収し、ようやっとキコリもトゥーイングベルト引っ張り地獄から解放され、キリキリに締め上げられたお腹はいつものサイズに戻り、あくっちゃんはパドルを紛失しつつも艇とスポンジを回収し、肩や尻に若干のケガを負ったものの、まぁ割合と元気に川下りを終了したのであった。

パドルはどこだ?
流されていったパドルを賢明に捜索するあくつ隊員。その姿勢にはあきらめの心が感じられずにはいられない。

肩のケガ
スーツの上からぶつかったのに、それでも皮がむけるほどの肩のケガ。
画像では分かりにくいけど、結構痛そうなのであった。

 それにしても今回の川下りも激しいものであった。なんで毎年毎年今ごろの季節になると死にそうな思いをすることになるのであろうか? もうちょっとゆるやかな流れでのんびりと川下りするということは出来ないのであろうか?

 とかまぁ、バス待ちする間にちょっと歩いてみようかと上陸地点の葭ヶ平からの帰り道、トポトポ歩いているときにフト思ったのであった。でもやっぱりまたこんな川に来ちゃうんだろうなぁ・・・やっぱりこういう川に来ると心がウキウキするもんね! やっぱ。


それから


カヌー日記へ | トップへ

inserted by FC2 system